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中学生に電流を伝えよう! [小中理数系論]

majime_na_hanashi seesaa ブログへ転載
https://physicsreport123.seesaa.net/article/484912761.html?1640157814 (2021/12/22)

中学生にもスッキリわかる電流

 中学では、「電流は、電気の流れる量で、単位はアンペアです。」と言われてしまうのです。
 従来通りでは、電流をスッキリ理解するのは難しいかと思います。そこで、ここで少し解説します。

 オームの法則を使える事、抵抗の配置と電池の配置が直列と並列の時で、電圧,電流,抵抗の挙動を覚えておく事で、高校受験は対応できます。
 しかし、理科に対して特性を持つ生徒にとっては、電流はのどに何かが突っかかった感じで気持ち悪い量になることでしょう。

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 まず、理科としてとても大切なことは、生徒に流体という概念を理解させることです。“流体の量(流体量)”を一義的に決めるには、各位置での流体の密度移動速度方向の3つの変数を規定しなくてはならない事を教えてあげてください。
 一方、電流とは、
 “1秒間に1クーロンという電気量が動いた電気の流れを1アンペア”
 と定義しています。
 電流の向きは辛うじて導線の正から負の電位の方向で決定できますが、密度も速度の変数も欠落し、動く総電気量で電流は定義されるので、電流は流体量ではありません。しかしながら、密度、速度の情報は全て電流に含まれています。ただ問題点は、それと同時に電流の中には導線の形状(詳しくは、電流の動く向きに対する垂直な断面の大きさ)の因子も含まれるので、電流は流体量と比べると曖昧な量です。ただし、技術面では電流は利便性が高いので重宝され使われています。

 流体量をきちんと定義をした上で、電流は技術面で使うためには非常に利便性が高いマクロ的量であると、中学2年生に説明し理解させることができるかどうかが、生徒たちに電界・磁界の理解度を高められる秘訣でしょう(ここまでが、先生として中学生に理解させるラインとして設定してもらいたいです。)。

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(以後の記述は発展で、高校の内容ですが、高度な中学生や高校生への助言のためにご紹介します。)
    
電流に流体量がないのかと言えば、そうではありません。電流密度σという量が流体量に対応します。
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以後は、太字で方向のある量(ベクトル)を表すことにしましょう。
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ここでは、電流密度を電流密度流σと呼びます。電流密度流σは1平方メートルあたりの面積を通過する電流を表し、この単位は[A/m2]です。
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実際の電流II=Sσ(Sは導線の電流に対する垂直面)となり、導線の形状因子が分離されます。
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σは、さらにミクロ的に分解できます。その導線を作る導体の中の電気を帯びた移動可能な物質;荷電粒子(これが電子)の密度をρ[1/m3]として、その電気物質一個が持つ電気量と電流方向の速度をe[C]、v[m/s]とすれば、1秒間に1平方メートルの面積を通り過ぎる電気量はeρvとなります。
これは、つまり、σ=eρvを導きます。
    ⇓
以上より、電流密度流σが、速度vと電気密度eρによって一義的に決定されていることがわかり、電流密度が純粋に流体量であることがわかるのです。                    〜おわり〜
上記の内容のワードファイル中学生にもスッキリわかる電流.docx

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